SIMを2枚刺すことができるデュアルSIM端末。しかし、デュアルSIM端末の中にはDSSS、DSDS、DSDVと様々な種類があるのをご存知でしょうか。これらの違いと、なぜ「DSDV」こそ最強のデュアルSIM端末なのかを紹介したいと思います。特に「格安SIM」を使って賢く節約したいユーザーにとってはDSDV機こそ究極の端末だといえます。
この記事の目次
DSSS、DSDS、DSDVの違いは?
デュアルSIM対応の端末を選ぼうとするときに必ず出てくるキーワードとして「DSSS」「DSDS」「DSDV」があります。
- DSSS=デュアルSIM、シングルスタンバイ
- DSDS=デュアルSIM、デュアルスタンバイ
- DSDV=デュアルSIM、デュアルVoLTE
それぞれ、以上の略語となっています。といっても何だかわからないと思いますので、もう少し詳しく説明したいと思います。
DSSS:SIMが2枚入るけど同時に使えるのは片方だけ
デュアルSIM、シングルスタンバイの略であるDSSS対応機というのは、スマートフォンの中にSIMを2枚格納することができます。しかし、その2枚のSIMを同時に使うことはできずに常にどちらかに切り替えて使う必要があります。これはデータ通信だけでなく、通話についても同様です。例えば、仕事用とプライベート用のSIMを2枚刺していたとしても常にどちらかの電話番号を有効にすることしかできず、オフになっている方の電話番号では着信することもできないため、同時待ち受けもできず日常使いには向いていません。
DSSSの利点がないように思えますが、例えば、海外旅行をよくするひとにとっては飛行機の中で現地のSIMに一々差し替える手間を節約することができるというメリットがあります。
単に「デュアルSIM」対応と書いてある機種の中にはDSSSに対応しているだけのスマートフォンもまだまだ多くありますので購入時にはよく確認してから購入する必要があります。
DSDS:SIMを2枚入れて同時利用・待受もOK(だけど4Gは片方だけ有効)
DSDSは、デュアルSIMデュアルスタンバイの略です。これは2枚のSIMカードを同時に挿入でき、かつ同時に通信を利用することができるというものになります。一般的に日本で「DSDS対応機種」というと、3G+4Gを同時に利用できるものになります。(厳密には日本では対応していない「2G」+「3G」を同時利用できる端末もDSDSといえますが、国内ではDSSSと表記されることが多いです)
そのため、DSSSの項で説明したような仕事用とプライベート用の両方のSIMをさして同時待ち受けをするといった使い方の他に、3G側にドコモやソフトバンクの通話定額のSIMを利用しながら、4G側にデータ無制限の格安SIMを挿入するといった使い方が可能になります。しかも、この方法であれば、ちょっと面倒なMNPの手続きなどをすることなく現在利用しているキャリアのパケットプランを外す、もしくは最安プランに変更して、データ通信用のSIMを新規に購入するだけなので手っ取り早く「通信量節約」をすることができます。
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しかし、ここで注意しなければいけないポイントがあります。3Gに対応しているといっても、実はドコモ・ソフトバンクとauとではその通信規格が異なっており、一般的にDSDSで対応している「3G」にはau回線は含まれないということです。au回線を利用するには4Gとして利用する必要があり(ここでは詳述しませんが、auの4Gで通話するためには、さらにauのVoLTEに対応している端末を選ぶ必要があります。)、もう一つの空きスロットであるSIMは3Gでの通信しかすることができません。
すなわち、DSDSでauやUQmobileの通話回線を利用しようとすると、
- 4G=au音声回線
- 3G=ドコモかソフトバンク系のデータ通信
という組み合わせになってしまい、高速通信が必要なはずのデータ回線で十分な速度を出すことができず、使い勝手にかなりの問題があります。また最近では、大手キャリアはどこも4Gの回線を快適にするために、3Gの回線をしぼってきており(電波を3G→4Gにふりわけている)、3Gでデータ通信をするのはどんどん現実的ではなくなってきています。
格安SIMを紹介する当サイトとしても、UQmobileについて考えると、その特徴である「おしゃべりプラン」の60/120/180分の通話料というのを最大限に活用しようと思うと、UQmobileを4Gとして利用する必要があり組み合わせに難があると言わざるをえません
またこれはau回線を使う場合に限らず、例えば、大手キャリアの7GB定額のプランとの組み合わせや、10分通話定額が特徴のワイモバイルSプランなどと組み合わせて利用しようと思った場合にも問題が出ます。これらの通話で使おうと思っているSIMを3Gとして利用することになるのですが、これらのプランについている「データ通信量」をうまく使い切ろうと思っても、3Gでは十分な速度を出すことができません。
大手キャリアのプラン+格安SIMを組み合わせることで、ふだんは格安SIMの安いプランでデータ通信をしつつ、格安SIMの弱点であるお昼時や通勤時などの低速になる時間帯だけ、大手キャリア側で通信をすることで両者のいいところどりをするといった使い方ができないのです。
DSDV:SIMを2枚入れて同時にLTE利用がOK(4G音声のVoLTEもOK)
そこで2018年以降に注目を浴びているのが、DSDV(デュアルSIM、デュアルVoLTE)となります。DSDV対応機種は、4Gと4Gを同時利用できるというものになります。DSDVのVの略語であるVoLTEとは、この4G(LTE)回線で音声通話をすることができるという意味だり、4Gの音声通話を2回線で着信することができます。
auの音声通話は前述のように4Gを使った通話すなわちVoLTE方式に統一されてきています。au系の格安SIMであるUQmobileやmineoの音声SIMもVoLTEでないと通話できないSIMが発行されていますので、これらを使うにはVoLTE対応端末が必須となります。
DSDV端末であれば、auのVoLTEによる通話+docomo/ソフトバンクの4Gデータ通信という組み合わせや、au 4G(VoLTE)+au 4G(VoLTE)という組み合わせの通信が可能ですのでかなり自由度が高くなります。
要注意!au VoLTE非対応の「DSDV」機を避けるべし
DSDV対応であれば、どんな機種であってもドコモ、au、ソフトバンクを問題なく使えそうですが、実は各社のVoLTEは細かい仕様が異なっており、一社一社と接続試験をしたりして仕様をすり合わせないと使うことができなくなっています。
特にauについては、このVoLTEに関する通信規格のすり合わせの問題以外にも、電波に関する問題も抱えています。それは、世界で最も使われている周波数帯域のband1(2.1GHz)についてauのみ特殊な制限がかかっているということです。実はauに割り当てられているband1の週はスタイは、国内で電波をフルの出力で発してしまうと日本国内でしか使われていないPHSに影響を及ぼしてしまうために、日本では出力を減らすようにという法令による指定があるのです。
そのため、海外で売られている機種を日本にそのまま持ち込んでも使えない(技術的に使っても、法律違反になることもあるので要注意)ことがおおく、au用にカスタマイズをしないと国内で販売することができません。そういった事情もあり「VoLTE対応端末」をうたっていてもauだけ除外されていることもあるので要注意です。
日本初のDSDV対応端末「HUAWEI Mate10 Pro」は、au VoLTE非対応
実際、デュアルVoLTEをうたって登場した、日本史上初のDSDV端末の「HUAWEI Mate10 Pro」は、ソフトバンク(ワイモバイル)のVoLTEにのみ対応するとされていて、auで使うことができません。
2017年末の発売時にファーウェイ社の日本統括の呉波氏に対して行われたインタビュー記事によれば、早期にauのVoLTEに対応できるよう準備中だと回答していたにもかかわらず、約1年が経とうとしている時点において未だに対応が発表されていません。(参考:Mate 10 ProのVoLTE対応の拡充って……いつなんでしょうか)。ワイモバイルのVoLTEに対応していたとしても、音質の問題を除けば(VoLTEの音質のほうが3Gよりよいとされている)ワイモバイルのVoLTE対応によるメリットなどほとんどないので、これはまったく意味のない「DSDV」端末だといえます。(ワイモバイルの音声SIM+データSIMでどちらも4G通信ができるといったメリットはありますが、この恩恵を受ける人は少ないでしょう)
ついに登場した真のDSDV対応の「ASUS Zenfone5」「ASUS Zenfone5Z」
2018年の5月に発売開始された「Zenfone5」と、その上位機種の「Zenfone5Z」が日本における実質的にはじめてのDSDV端末です。このスマートフォンは、ドコモ・au・ソフトバンクの3社のVoLTEに対応している真のDSDV端末です。そのため、UQmobileの通話SIM+ドコモ系MVNOのデータSIMといったマニアックな使い方も全く問題なくすることができます。
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また端末としてもかなり使い勝手が良い端末のため、ドコモ系やau系問わず多くの格安SIM会社からセット販売されており入手のし安さも抜群です。DSDV端末を検討するなら、まず最初に考えてみたい機種です。
やはりHUAWEIはダメか…「HUAWEI P20」も、au VoLTE非対応
その後、HUAWEIもP20をDSDV機として国内で発売を開始しました。しかし、この機種もまたソフトバンク(ワイモバイル)のVoLTEに対応するのみで、au系VoLTEを使える見込みがまったくない残念な機種となっています。
世界四位の伏兵OPPO「R15 Pro」「R15 Neo」はDSDV対応機
2018年8月に発表されたOPPOの「R15 Pro」はDSDVに対応すると発表されています。おそらくauのVoLTEにも対応するものと思われます。
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待望のDSDV対応iPhoneは2018年9月に発売へ
このようにAndroid陣営では、ついに日本発売を開始されたばかりのDSDV対応端末ですが、実はiPhoneも2018年の新機種からDSDV対応端末が出る気配が濃厚となっています。どうやら中国などの海外向け端末で対応するのではないかと言われており、日本国内では正規ルートでは購入できない可能性があります。
しかし、海外で販売されているDSDV対応iPhoneを特殊なルートで仕入れて個人向けに販売してくれる格安SIMの会社が現れることに期待できると思います。特に、こういった海外販売向けiPhoneを仕入れて販売したことのある 楽天モバイル やmineo、 JCOMモバイル などはかなり期待できると思います。
DSDVスマホで使ってみたい「格安SIM組み合わせプラン」を考える
最後に、DSDVスマホを入手したら使ってみたい格安SIMの組み合わせプランを紹介します。
ワイモバイル「スマホプランS」+Biglobe「エンタメフリー」
ワイモバイルのスマホプランSなら10分定額が標準装備で、データも3GBを使うことができます。
これに、Biglobeのデータプランの6GBを組み合わせて、かつ「エンタメフリー」オプションをつけると動画見放題+データも合わせて9GBまで使える最強の通信環境が揃うことになります。
- ワイモバイル スマホプランS・・・1,980円(10分まで通話定額、3GBまでの高速通信)
- BIGLOBE データSIM(6GB)+エンタメフリー・・・2,430円(6GBまでの高速通信、YouTubeなどの動画見放題)
- 合計 4,410円
といったような使い方ができます。この10分まで通話定額というワイモバイルならではの強みと、カウントフリーとを組み合わせるようなことはこれまでできませんでしたが、DSDV端末であれば実現することができますので、是非組み合わせを楽しんでみてください。