せっかく通信料金や通話料金を安く出来ると思ったのに繋がらないのでは意味がないですよね。実は、格安SIMとスマホの相性は、さまざまな要素で決まります。バンド(周波数帯)もその中の1つ。格安SIMで利用できるバンドと、スマホが対応できるバンドの種類が一致しない場合は、通話も出来ずLTE通信などインターネットに接続も出来ません。
では、どのようなスマホであれば、UQモバイルのバンドに対応できるのでしょうか。SIMフリー版ならどの格安SIMプランでも利用できる可能性があるのでしょうか。答えを知るために、本ページでバンドとスマホの相性についてチェックしてみてください。
この記事の目次
そもそもバンドって何?
本文のはじめに、そもそもバンドとは何なのかという点を押さえておきましょう。冒頭にも書きましたが、バンドとは周波数帯のことです。スマートフォンや携帯電話は、電波を利用する無線通信機器。通信に使用できる電波の周波数帯はあらかじめ決まっており、総務省から通信事業者各社に割り当てられています。
といっても、各通信事業者に対して、同じように周波数帯が割り当てられているわけではありません。ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアでは、利用できる周波数帯、すなわちバンドが少し違っているのです。
このため、キャリアの回線を利用する格安スマホの周波数帯も、MVNOごとに違います。具体的にいうと、MVNOはdocomo回線を利用するものとau回線を利用するものに2分でき、それぞれに対応するバンドが違うのです。以上の点を踏まえたうえで、次節ではUQモバイルで利用できるバンドについて詳しく見ていくことにしましょう。
UQモバイルで使える周波数帯
UQモバイルは、au回線を利用する格安SIMサービスです。このため、使えるバンドはau回線と同様になります。au回線で利用できるバンドは全部で7種類。各バンドの特徴を、順番にチェックしてみましょう。
Band1(2.1GHz帯)
iPhone5の発売に合わせて、2012年9月に導入されたバンドです。かつてはエリアの狭さが問題視されていましたが、現在では後述するBand18とほぼ同様のエリアをカバーしています。Band1の通信速度は、下り最大37.5Mbps~150Mbps程度。下り150Mbpsの通信速度は、キャリアアグリゲーション対応エリアでのみ実現されます。
Band11(1.5GHz帯)
Band1やBand11を補助するバンドです。通信速度は下り最大75Mbpsとなっています。
Band18(800MHz帯)
プラチナバンドと呼ばれる周波数帯です。障害物を迂回して、遠くまで到達できることを特徴としています。通信速度は、Band1と同じく下り最大37.5?150Mbps。広いエリアに高速通信を提供できる、au回線の主力周波数帯となっています。
Band41(2.5GHz帯)
WiMAX、WiMAX2+用の周波数帯です。通信速度は、WiMAX回線が下り最大40Mbps、WiMAX2+回線が下り最大220Mbps(キャリアアグリゲーション利用時)。一部地域では、LTEとWiMAX2+の同時使用により、下り最大370Mbpsでの通信を行えます。
Band28(700MHz帯)
2015年1月から提供が開始されているバンドです。プラチナバンドであり、安定した通信を行えます。ただし2017年2月現在では、提供エリアは拡大中となっており、全国的に利用できる状態にはなっていません。
3G回線(CDMA2000)
auの3G回線は、CDMA2000という形式で提供されています。対応バンドは800MHz帯と2.1GHz帯。広いエリアで使用でき、通信速度は下り最大14Mbps程度となっています。
対応バンドとスマホの相性
前節でご紹介したように、au回線は多数のバンドを使って提供されています。ただ、すべてのスマホが、auのバンドに対応しているわけではありません。au以外のキャリアのスマホは、au回線のバンドのほとんどに対応していないのです。
たとえばドコモの端末は、au回線のバンドうちBand1とBand28にしか対応していません。主力周波数帯であるBand18に対応していないため、ドコモのスマホをSIMロック解除しても、auのSIMカードで正常な通信を行うことは不可能です。同様に、UQモバイルのSIMカードでも、SIMロックを解除したドコモのスマホを正常に機能させる対処法はありません。ソフトバンクのスマホも、Band18に非対応です。
やはり、UQモバイルのSIMカードでは、ソフトバンクのスマホを機能させることができません。
ただし、例外があります。iPhone6s、6s Plus、SEであれば、ドコモやソフトバンクで購入したものでも、UQモバイルのSIMカードで運用可能です。iPhoneは対応バンドの種類が豊富。上記の機種であれば、SIMフリー化することでau回線のバンドに対応できます。もちろんテザリングも、問題なく利用できますよ。
3Gを使えるのはauのスマホだけ
多くのSIMフリースマホは、au回線のバンドに対応しています。ただし、3G回線となると話が別。多くのSIMフリースマホは、auの3G回線に対応していません。つまり、UQモバイルのSIMカードを挿しても、3G回線によるデータ通信や音声通話を行えないのです。
まず3Gのデータ通信については、格安SIMでは利用できないようになっています。SIMフリースマホだけでなく、auのスマホを利用した場合でも、格安SIMでは3G回線でのデータ通信を行えないのでご注意ください。
…とここで、「auで買ったスマホじゃないと、UQモバイルのSIMカードで音声通話を行えないってこと?」という疑問の声があがりそうですね。確かに、CDMA2000方式を使った音声通話は、auが販売したスマホでなければ利用できません。
とはいえ、SIMフリースマホはau系格安SIMで音声通話を行えないのかというと、答えはNOです。UQモバイルがセット端末として販売しているSIMフリースマホは、問題なく音声通話を利用できます。なぜセット端末は音声通話を利用できるのか、その理由を次節で探ってみることにしましょう。
セット端末で音声通話できるワケ
前節で述べたように、ほとんどのSIMフリースマホはauの3G回線を利用した通話に対応していません。しかし、auのVoLTEに対応したSIMフリースマホであれば、音声通話を行えます。
VoLTEとは、LTE回線を介して音声通話を行う通信技術です。auのVoLTEはCDMA2000のようにマイナーな技術ではないので、多くのSIMフリースマホで利用できます。ただし、UQモバイルでVoLTEを利用するには、以下の条件を満たさなければなりません。
- スマホがauのVoLTEに対応していること
- SIMカードがマルチSIMであること
- 通話相手のスマホがVoLTEに対応していること
先に触れたように、スマホ本体がauのVoLTEに対応していなければ、VoLTEによる通話は行えません。また、UQモバイルでVoLTEを利用するには、SIMカードのタイプに「マルチSIM」を選ぶ必要があります。通常のSIMカードでは、VoLTEを利用できないのでご注意ください。
また、通話相手のスマホがVoLTEに非対応である場合は、VoLTEを使った通話を行えません。こちらがSIMフリースマホを使っている場合は3Gも利用できないので、音声通話を行えないことになります。つまりこの場合は、LINEのようなIP電話アプリを使わないかぎり、音声通話を行えなえません。
au端末でVoLTEを利用するための条件
auから発売された端末でも、UQモバイルのマルチSIMを挿すことでVoLTEを利用できます。ただし、無条件でVoLTEを使えるわけではありません。マルチSIMでVoLTEを利用するには、SIMロックの解除を行う必要があるのです。
たとえば、手持ちのauスマホをマルチSIMで運用したいなら、まずauでSIMロック解除を申し込まなければなりません。ただし、SIMロック解除に応じてもらえるのは、以下の条件を満たす端末のみとなっています。
- 2015年5月1日以降に発売された端末であること
- 購入から180日が経過している端末であること
2015年5月1日以前に発売されたスマホは、公式のSIMロック解除に未対応です。また、SIMロック解除に対応しているスマホであっても、購入から180日が経過していない場合は公式のSIMロック解除を受けられません。
中古のauスマホを購入する場合も、上記の条件には注意してください。うっかり新しいスマホを購入すると、SIMロック解除を行えるようになるまでに数ヶ月間待つしか対処方法が無い状態になります。
なお、UQモバイルが販売しているセット端末には、割引によって実質無料もしくは割安価格で購入できるものがあります。確実にVoLTEによる通話を行える端末を入手したいなら、セット端末の購入を視野に入れてみてください。
SIMフリースマートフォンの動作確認済み端末やセット端末については、UQ mobile公式サイト(UQ mobileオンラインショップ)にて確認することが出来ます。
まとめ
ドコモ系の格安SIMと違い、UQモバイルやマイネオなどau系の格安SIMにはバンドや通信規格に関する注意ポイントが多数あります。このため契約時には、利用する端末とデータSIM、VoLTE対応SIM、通話SIMカードなどの組み合わせをしっかり確認して申し込みを慎重に決めなければなりません。
とはいえ、UQモバイルは通信品質や料金プランに定評があり、ユーザーの満足度が高いことも事実。契約を検討する際は、本ページの内容を参考にして端末と対応SIMカードの組み合わせを選んでみてください。