格安スマホ業界でシェアNo.1を走るワイモバイルが「かんたんスマホ 705KC」を発表しました。これは、格安スマホ業界を揺るがす大きなニュースだと思うので詳細に紹介してみたいと思います。
この記事の目次
「かんたんスマホ 705KC」の特徴
まず、今回発表された「かんたんスマホ」のスペック(機能・特徴)を振り返ってみたいと思います。
メーカー | 京セラ |
OS | Android8.1(Oreo) |
CPU | Snapdragon 430/MSM8937 1.4GHz+1.1GHz(オクタコア) |
RAM(メモリ容量) | 3GB |
ROM(ストレージ容量) | 32GB |
バッテリ容量/充電時間 | 2,600mA /約140分 |
本体サイズ | 幅71mm×高さ147mm×暑さ9.2mm |
重量 | 約142g |
画面サイズ | 5.0インチ |
解像度 | 1280×720 |
カメラ性能 | (メイン)1,300万画素/(サブ)500万画素 |
「かんたんスマホ 705KC」に搭載されているCPUはローエンド(低性能)の入門機に採用されることの多いSnapdragon430のため、性能としてはそこまで高くないためゲームや画像編集などを行うことはできませんが、シニア世代にとっての主要機能である電話、メール、カメラ、インターネットを使う分には十分な性能です。また、TVerなどの動画視聴は意外と性能を必要としないため十分利用することができます。
むしろ705KCの最大の特徴はシニア向けスマホに必要な「大きいボタン」や「サポート機能」が充実していることです。ワイモバイルが発表している705KCの動画を見ると、必要な機能のアイコンのみに絞ったホーム画面が好感を持てます。
より詳細を知りたい場合はワイモバイル公式サイトをご覧ください。
親世代にすすめることができる「シニア向けスマホ」の条件
さて、そもそも「シニア向けスマホ」に必要な機能や特徴の条件を考えてみたいと思います。実際に70歳を超える(そこまで機械に強くない)親に、そろそろガラケーをやめてスマホにしてもらいたいと思ったときにあれこれ試してみたことがベースとなっています。ガジェットを使いこなすタイプのアクティブシニアであればiPhoneやAndroidの最新機種でもまったく問題なかったのですが、ガラケーをなんとか使いこなしていた親に対しては、「シニア向けスマホ」を選ぶ必要があると強く感じます。
シニア向けスマホに必要だと思う特徴
実際に親に渡して使ってみて感じた「シニア向けのシンプルなスマホ」に必要な機能は以下のものだと感じています。
- 使いたがる三大機能「電話」「メール」「写真(カメラ)」の大きいアイコンをホーム画面におけること
- よく掛ける通話先を登録できる「短縮ダイヤル」を3つ以上登録できること
- ブラウザを起動するアイコンの名称を「Chrome」や「ブラウザ」ではなく「インターネット」と登録できること
これらを満たすことができるのが最低限の「シニア向けスマホ」だと感じます。特に2つ目の短縮ダイヤルは意外と大事で「電話アプリを起動」→「連絡先を選択」→「家族の名前を探してコールする」というステップが意外とまどろっこしいらしく、家族などのよく使う通話先はホーム画面に短縮ダイヤルのアイコンをおく必要があります。
意外とシニア向けスマホに不要な機能
また、実際に親に使ってもらって感じた不要だと思う機能は次のとおりです。
- 防水/防塵機能
- ワンセグ機能
- おサイフケータイ
シンプルなスマホだと「防水/防塵機能」を謳っているケースも多いのですが、子どもではなくシニア世代に渡す場合には、そもそも丁寧に扱う傾向がありお風呂場などに持ち込むことはしないため、意外と防水機能は必要ないと感じます。よかれと思ってついていることの多い「ワンセグ」機能ですが、小さいスマートフォンの画面でテレビを見るのは老眼の目には厳しいようで、全く不要な機能だと感じます。
これまでは大手キャリアしか取り扱っていなかった「シニア向けスマホ」
さて、これまで上記のような条件を満たした「日本の高齢者向け」のシンプルなスマホは、これまでドコモ/au/ソフトバンクの大手キャリアしか取り扱っていませんでした。
- ドコモの「らくらくスマートフォン」シリーズ https://www.nttdocomo.co.jp/product/easy_phone/f04j/index.html
- auの「BASIO(ベイシオ)」シリーズ https://www.au.com/mobile/product/smartphone/basio3/
- ソフトバンクの「シンプルスマホ」シリーズ https://www.softbank.jp/mobile/products/smartphone/?cid=18sm_180515_mobile/products/_001
しかし、こうしたシニア向けスマホを契約しようとすると、大手キャリアの用意した高い料金プランの契約をするしかなく、「だったら月額料金が安いガラケーでいいや」と諦めてしまうことも多かったと思われます。もちろん、ドコモで家族グループでパケットシェアをすれば月1500円程度で使うこともできたのですが、単独で契約すると結局5,000円前後のプランになってしまっています。
(ドコモの料金の例)ドコモ らくらくホン向けといいつつ税込みで月額5,000円を超えてしまう
またこうした「シニア向けスマホ」をヤフオクや中古スマホショップなどで白ロムを購入して、格安SIMを挿入することでもなんとか利用することはできたのですが、あらかじめインストールしてあるアプリがドコモ純正のSPモードでないと正しく動かなかったり(親と一緒に住んでないとこうしたイレギュラーな動作をしたときに「壊してしまった」と混乱する)、そもそもシニア向けスマホは手放す人が少ないため白ロムの値段が高止まりしていたりと、なかなか現実的ではないというのが実情でした。
一方、格安スマホの「シンプルモード」も、あともう一歩およばずであった
こうしたシニア向けスマホでなくても、ASUSの「Zenfoneシリーズ」やHUAWEIの「Pシリーズ」などにはホーム画面のモードとして「シンプルモード」が用意されているので、これらを使えばよいという意見もあります。
実際にこうしたホーム画面を使うことで、ある程度は上記に挙げた条件をカバーすることができるのですが、どうしても「あと一歩かゆいところに手が届かない」状況でした。例えば、HUAWEIのPシリーズに搭載されている「簡易モード」は、1つのホーム画面に登録できるウィジェットの数が4つまでと少なく「メール」と「カメラ」の他に短縮ダイヤルを複数個おこうとするとホーム画面をスライドした2ページ目になってしまったり、そもそもChromeの名前を「インターネット」に変更できないために毎回インターネットはどうやって使うの?と疑問に感じてしまうようでした。
Huawei端末の「簡易モード」ってWindowsのタイル型UIっぽいよね
使ったことないけど… pic.twitter.com/aoqkMk0f4M— エヌユル (@ncaq) 2018年2月17日
いくつかのタイル(アイコン)は場所を動かすことができないため、短縮ダイヤルを複数登録すると2画面になってしまう。
格安スマホの製造メーカーは、中国やアメリカが多いため、やはり「日本の高齢者」の実情に合わせた作り込みというのはそこまで注力されていないという実感があります。
親世代にすすめることができる「かんたんスマホ」がついに登場
格安スマホ業界で最も勢いがあるワイモバイルが今回発表した「かんたんスマホ」は、日本の京セラが作り込んだということもありかなり期待することができます。
シニア世代にこそ嬉しい時間無制限の国内通話し放題オプション付き
また、かんたんスマホを契約した人を対象に、通常月額1,000円かかる「スーパーだれとでも定額」オプションが無料で付加されることも発表されています。
シニア世代同士だとまだまだLINEではなく携帯電話で長電話をしてしまう人も多いと思いますが、そうした人にとっては耳寄りの情報です。実はワイモバイルを除く格安スマホ会社では「時間無制限の通話し放題」オプションを提供している会社は、2018年現在存在していませんので通話を重視するならそもそもワイモバイル以外の選択肢はないといっていいほどです。
そもそも、大手通信会社以外の格安スマホ会社の中では国内通話の「無制限かけ放題」はワイモバイルしか提供していない。
それが、さらに60歳以上であればオプション料金も無料にするというのだから、今回の「かんたんスマホ」に乗り換えると携帯電話代ががくっと下がる可能性が高いと思われます。60歳以上を狙い撃ちにしたかなりお得なプランだと思います。
料金は通話し放題込みで1,480円+端末代~で最安2,642円から!
かんたんスマホを契約したときの料金は、最もシンプルなスマホプランSを選ぶと、1,980円~使うことができます。毎月3GBまでのデータ通信がついていますが、これは動画などを見ない前提で考えれば十分すぎるほど十分なので上位のプラン(スマホプランMやL)を検討する必要はないでしょう。
もし、家族で契約することができれば500円の割引がついてきますので、初年度1,480円で使うことができます。(2年目から1,000円値上がって2,480円になります)
ここに機種代の実質負担額として864円かかりますので、1,598円(1,480円+税)+864円=2,642円/月で通話し放題のシンプルスマホを利用することができます。
1人だけで契約する+キャンペーン価格が終了した2年目以降という最も値段が高い状況の試算でも、3,218円(2,980円*1.08)+864円=4,082円となります。この金額だと、ちょっと高いようにも感じますが、まず最初にワイモバイルのサポートがついた状態で1年間つかいこなしたあとに、値上がりする2年目になる前にソフトバンク系の格安SIMに乗り換えてしまうという裏技もありますので、1年たってスマホの使い方になれたなと思ったときに里帰りして、(ワイモバイル最大の特徴である通話し放題があまり活用されていないなというようであれば)もう一度料金プランの再検討をする前提で購入するのが良いでしょう。
「かんたんスマホ」はワイモバイルのオンラインサイトから購入することができます。
ワイモバイルが、シニア世代向けスマホを発売した意義は大きい
最初に述べたようにこれまで格安スマホ業界は、スマートフォンやSIMに詳しい人たちに向けてPRをしてきました。そのため、あまり高い金額は払いたくないのだけどスマートフォンを使いたいというシニア世代にぴったりの商品がほとんどなかったというのが実情でした。そこに、全国に1,000店舗近くの実店舗を持つワイモバイルが「かんたんスマホ」を発売したことの意味は大きいと思います。
通話し放題プランつきで1,480円~というのはかなり衝撃的な金額だと思いますので、はじめてのスマートフォンを検討している人には最適な選択肢だと断言することができます。是非、親世代の脱ガラケーを考える際の候補にしていただければと思います。